認定番号
003
区分
所在地
宮城県仙台市青葉区片平2-1-1
所有者・管理者
東北大学金属材料研究所
範囲と内容
金研旧1号館ファサード・建物記念銘板
KS磁石鋼、センダスト合金および3元透磁率立体相図模型、磁気天秤、本多光太郎実験ノート群他(本多記念館本多記念室・展示室所蔵)
年代
1916年~1945年
文化財指定等
・ASM Historical Landmarks (ASM International 1988)
・国立科学博物館 重要科学技術史資料(未来技術遺産)認定「金属チタン樹枝状結晶」(2011 年9月)
・登録有形文化財(建造物)「本多記念館(1941年完成)」(2021年10月)
認定理由
東北大学金属材料研究所は、冶金学に物理学的視点を導入した本多光太郎によって創設され、精密な実験測定を通じて、固体物理学・磁性物理学における多くの業績を生み出した。本件は、現代の高度情報社会を基礎から支える物理学・材料科学の記念碑的史跡であり、同時に、大正から昭和前期にかけての研究のあり方を今に伝える資料群を含んでいる。
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Description
解説
東北大学金属材料研究所(旧・臨時理化学研究所第2部)は、本多光太郎によって創設された。本多は、経験的・現象論的な当時の冶金学に対し、磁気分析・構造観察などの微視的な物理学的視点を実験研究に導入した「冶金物理学(Physical Metallurgy)」を日本にもたらした。1916年、本多と高木弘は人類初の人工合成永久磁石「KS磁石鋼」を発明した。この発明は、コバルト・タングステン・クロムを含む鉄合金の組成制御によって磁気特性を飛躍的に向上させた画期的な成果であり、当時、世界最強の永久磁石として脚光を浴びた。
「冶金物理学」的視点からの物性物理学上重要な成果が、1926年の本多と茅誠司による鉄などの「結晶磁気異方性」の実験的実証である。単結晶を用いた精密な実験研究により、強磁性体における磁化の結晶方向依存性を世界で初めて明らかにした。この先駆的な成果は、現代においても固体物理学・磁性物理学の教科書に掲載される不朽の業績となった。この実証主義的学問基盤は、その後の高透磁率軟磁性材料「センダスト」の発明(1932年 増本量(東北大金研))から、サマリウムコバルト磁石(1970年代初頭 俵好夫(東北大院理博1967))、ネオジム磁石(1982年 佐川眞人(東北大院工博(金研)1972))といった日本が世界をリードする現代社会を支える高性能磁石の開発へと連鎖していった。これらの物理学的探究と多様な物質・材料を対象とした実証主義的研究から多くの人材が日本全国に輩出された(本多スクール)。
また、磁性研究のために鉄筋を全く用いず赤レンガとコンクリートのみで建築された旧1号館の構造や、本多らによる当時の精緻な実験ノート、「金研方式」、「本多イズム」と呼ばれる緻密な実験から生まれたセンダストの3元透磁率立体相図模型(木製)などの現物資料は、徹底的な材料探索と精緻な実験測定を追求した当時の研究姿勢を今に伝えている。「産業は学問の道場なり」という理念の下、物理学的な真理探究を冶金学の応用に直結させ、日本の科学技術と産業界に多大な貢献を果たした歩みを示す本物件は日本物理遺産として認定されるにふさわしい価値を有している。
Location
所在地
Public Access
公開状況
一般公開・展示中。うち、本多光太郎ほか実験ノート群は問い合わせにより閲覧可。